2012年4月11日にリリースしたバトルスのリミックスアルバム「ドロスグロップ」は、それまでの作風とは一味違った新たな魅力感じられる展開となっており、好評を博しています。コラボレーションアーティスト・クリエイターから、リミキサー陣、さらにはアートワークに渡り細部までこだわっており、進化し続けるグループの特長が色濃く現れています。収録曲は全12曲で、それまでのコアな雰囲気を残しつつも、加えて明るさも随所に取り入れた聴きやすい一作となっています。個性の強いバトルスの基盤に、色とりどりのカラーが加わることで、華やかさのあるアルバム作品に仕上げられています。
また、全体に渡り感じられるユーモア性も特長となっています。例えば、アルバムのネーミングです。翌年に発売された原盤となる「グロス・ドロップ」のタイトルをもじった形となっており、バンドのユニークさにおける個性が垣間見えます。
もちろんその面は、音づくりにも表れています。ストイックな追求性を、そう言った聴くことの「楽しさ」へも向けることで、新たな世界観の確立を目指した形となっています。リミキサーメンバーには、ハドソン・モホーク、ギャング・ギャング・ダンス、ヤマンタカ・アイ、さらにはフィールド、コード9、ギ・ボラットと言った個性豊かな豪華作家陣が名を連ねています。またそう言った充実性ある人選を、バトルスメンバー自らが手がけている点も特長的です。
そしてその背景には、バトルスオリジナルメンバーにおける事情が関連しています。「グロス・ドロップス」の一つ前にあたるタイミングで販売した、ファーストアルバム「ミラード」リリース後2010年に、Vo,Gt, Keyを担当していたタイヨンダイ・ブラクストンが脱退したことがその理由です。デイヴ・コノプカ (Gt, Ba, Ef)、イアン・ウィリアムス (Gt, Key)、ジョン・ステニアー (Dr)と言ったボーカル不在の3人体制となったため、さらなるプロジェクトとして着手されたのです。ですが、穴を補うと言った目的もあったとは言え、結果的に冒頭にも挙げた通り、さらなるカラーの発掘にも役立った形となり、ファンにはある意味嬉しい流れでもありました。
原盤「グロス・ドロップ」は、全国CD店において軒並み一桁台の順位にランキングされるほどの人気作となりました。それに伴い、リミックス盤でありながらも大きな注目寄せられる作品となったのが、同作「ドロスグロップ」です。ファンの方、そしてファンならずとも、きっと高い満足度得られる音源となることでしょう。