バトルスファンが贈るドロスグロップ情報と評判

2011年に発売した「グロス・ドロップ」で話題を呼んだ、アメリカ出身のエクスペリメンタルロック・バンド「バトルス」が、翌年2012年に新たに展開したリミックスプロジェクトが話題となっています。

 

昨年のアルバム内容を引き継いだ、その名も「DROSS GLOP(ドロスグロップ)」です。テクノ分野における活動で知られる野田努氏がライナーノーツを担当することでも注目を集める、まさにバトルスファン必見のプロジェクトとなっています。「ブロンド・レッドヘッド」のカズ・マキノや、「ボアダムス」の山塚アイと言った。日本のゲストボーカルも参加していることから、国内においても各メディアが取り上げる形となった作品です。
注目のポイントは、何と言ってもバトルスならではの美学・ユーモアが余す所なく凝縮されている点です。セカンドアルバムのリミックスとなるだけあって、ファースト「ミラード」よりもさらに自由度が増している上、より楽しむことを追求した仕様が、独特の世界観へ導いてくれます。個性的かつ実験的なナンバーの数々は、ありきたりな日常に大きな変化をもたらしてくれることでしょう。

 

一点、ファーストとは大きく異なる点があります。それは、フリー・ジャズ界の巨匠である、アンソニー・ブラクストンを父に持つボーカル、タイヨンダイがソロ・アルバム「Central Market」を発表後、脱退してしまっていることです。

 

タイヨンダイ抜きの3人で臨んだプロジェクトとなっているため、メインメンバーは元「ドン・キャバレロ」、「ストーム・アンド・ストレス」のイアン・ウィリアムス、元「リンクス」のデイヴィッド・コノプカ、元「ヘルメット」、「トマホーク」のジョン・ステイナーによる3人体制です。洗練された新たな取り組みであるセカンドにして、さらにはそのリミックス展開となるだけあって、今後のバトルスサウンドを占うと言っても過言ではない作品なのです。

 

ファンの方、そしてファンならずとも、是非チェックして頂きたい1枚です。

 

そしてもう一つ忘れてはならないのが、アートワークの面です。ギタリストでもあるデイヴ・コノプカがセカンドを担当しましたが、新たなリミックス版でも同じくリワークを努めています。ピンク一色で仕上げた印象的な元のデザインに、カラフルなビビットカラーをプラスした仕様となっています。まさに、タイヨンダイの抜けた穴を個性豊かなゲストボーカルが補った面を表しているようなデザインと言えます。音楽面はもちろんのこと、ディスク作品としての面でも、楽しめる一作となっています。