バトルスファンが贈るドロスグロップ情報と評判

ロバート・アシュレイ、アルヴィン・ルシエ、ゴードン・ムンマ、デヴィッド・ベアマンなどに代表される実験音楽「エクスペリメンタル・ロック」ジャンルにおいて注目を集める、バトルス。そんな彼らが2012年にリリースしたリミックスアルバム「ドロスグロップ」は、ファンからも評価の高い展開となっています。前年2011年に発売した「グロス・ドロップ」のアレンジバージョンとなっており、ユーモアのある原盤をもじったレコードネーミングの通り、ユニークな仕上がりとなっている点が特長的となっています。

 

従来のバトルスサウンドに連想されるイメージと言えば、やはり「ヒリヒリ感」が挙げられるかと思います。危険で、それでいて緻密にデザインされたアーティスティックな音づくりが彼らならではでした。

 

ところが、2007年のファーストアルバムリリース後、ボーカル・ギター・キーボードを担当していたタイヨンダイ・ブラクストンが脱退。その影響もあり、今作には新たに、ブライトなテイストが全体的にプラスされた形となっています。聴きやすく、それでいて退屈にはならないバトルスならではのエッジが利いた感性楽しめる一作です。

 

加えて、充実のゲストボーカル陣の個性も特長的です。ゲイリー・ニューマン、マティアス・アグアーヨをはじめとした実力派4人が名を連ね、作品を彩っています。プラスされたテイストは、「華やかさ」の一言に尽きます。実績十分の、土台の完成された音に、まったく違った才能が集うことで、色彩豊かなタイトルのラインナップを実現しています。

 

またその面はアートワークにも反映しており、前作同様、メンバーの一人デイヴ・コノプカが手がけたリワークスは、まさにその流れを象徴するかのようなカラフルな仕上がりとなっています。赤・黄色・緑・水色のビビット感ある4色のペイントを、原盤デザインにぶちまけた仕様です。鮮やかで、どこか毒々しさもある様相は、まさにベースとなる従来のバトルスカラーと、コラボレーション企画の融合を演出した形とも取れます。

 

彼らの音楽は、CD・アルバムを通して楽しめる他、日本公演によるライブでも体感できます。エレクトラグライド・フジロックツアーと大規模なイベントも展開しており、音源作品以上の臨場感が楽しめます。しかし「ドロスグロップ」リリース以降は2014年現在、まだ来日は行われていません。リミックスワークスに関しては、やはりアルバムを通しての視聴が主立った手段となります。